(前編の続きです)
『Wings For Life World Run』は世界同時スタートのため、日本会場のスタートは20時に設定されています。おそらく、ヨーロッパあたりが良い時間になるように設計されているのでしょう。
スタートブロックは、自己ベストタイム別に4つのグループに分かれています。19時ごろから開会式が行われましたが、開会式中に「青ブロックの方は整列を開始してください」といった感じで、スタートブロックへの誘導が始まります。
世界一を目指す出口さん(詳細は前編を参照)は、当然先頭からのスタートということで、準備万端の様子です。
スタート前
スタート地点はまるでクラブのような雰囲気です。
ゲストランナーの方々が次々と呼ばれていますが、もう紹介しきれないぐらいたくさんのゲストが来ていました。
芸能界最速、フルマラソンで2時間24分台の記録を持つ、お笑いコンビ『ランナーズ』の速いほう がんばれゆうすけ氏 も参戦(写真撮ってもらったw)。
いざ、スタート!
DJによるチャラいカウントダウンの後、多数の号砲・クラッカーの音と共にスタート。
たくさんの有名人が走っているのに、沿道の方々には暗すぎて誰なのか分からない様子で、「あれ・・有名人じゃない?」「なんかお笑いっぽいね」といった微妙な声がチラホラ。笑
500mほどで運動公園を出ると、完全に真っ暗闇になってしまいました。
田園風景の夜は、とにかく蛙のゲーコゲーコがうるさい(笑)。人間の足音と呼吸音、そして蛙のゲーコゲーコの音だけが響き渡ります。
後ろを振り返ると、ランナーのヘッドライトだけが列を作っている不思議な光景が広がります。
とにかく・・・暗いww
気になるコースですが、10kmまでは時々、住宅街のような場所を通るものの、その後は完全な田舎道。時々車も通りますが、とにかく真っ暗闇の中を進みます。
15kmからは歩道走行箇所も増えてきて、細かいデコボコに脚を取られます。こんな暗闇でレースを走るなんて、ほとんどの選手には経験が少ないでしょうから、有力選手が早々に脱落したりというアクシデントも、あったそうです。
距離表示は丁寧に、1kmごとにあるのですが、写真からも分かるように、とにかく真っ暗なので、かなり近づかないと何キロの表示なのかがよく分かりません。笑
そんな暗闇の中でも、沿道の応援は想像以上に多い
レース中、印象的だったのは、想像以上に沿道の応援が多かったこと。
住宅街では、住民と思われる方々が応援してくれますし、田んぼのど真ん中のような場所でも、わざわざ車で応援に来てくれる人がいたり、琵琶湖畔のキャンプ場では、キャンプを楽しんでいる人たちが、出てきて応援してくれました。
「建物が見えれば、必ずそこに居る人が応援してくれた」と言っても過言ではないほど、温かい応援に助けられました。
また、特に興味深かったのが、沿道の皆さんの多くがレースのルールをよく理解していたこと。
「頑張って逃げて~~!」という応援だけでなく、「もう500人捕まったらしいよ」「車はまだ来ないの?」「日本人の女の子が先頭なんだって」という話し声が聞こえてきました。みんな、この大会がどんなものなのか、よく分かっている様子です。
運営側が、しっかりと地元の皆さんの協力を得て大会を進めている、そんな努力が伝わってきました。
筆者の走行ペース
10km 41分30秒ぐらい
20km 1時間23分ぐらい
30km 2時間04分ぐらい
40km 2時間48分ぐらい
こんな感じで進みましたが、やっぱり普通のマラソンランナーでは、40km近くなるとどうしてもペースが落ちてしまうようです。
その頃から、前半に脚を溜めていたウルトラランナーに少しずつ抜かれるようになってきました。
そろそろ・・・キャッチャーカーが来る。
42km地点を2時間58分で通過。事前発表ではキャッチャーカーは42km地点を3時間08分で通過予定だったので、ビハインドは10分。
しかし既に脚は疲れ切っていて、ガクンとペースダウン。1km6分ぐらいでジョグを続けるのが精一杯。
44kmを3時間10分で通過したところで、計算上1.5km背後にキャッチャーカーが来ていることを認識。
「ゴールを決めるのはあなた。」そう、自分がここから、どこまで頑張れるかでゴールは決まる。
こんなレースは初めて。
自分は今、確実に追われている。ここで止まれば楽になれるし、44kmという「それっぽい」記録も残る。それが45になるか、46になるかは、もう完全に自己満足の世界。
それでも、頑張っちゃうのがランナーの性というやつでしょうか。止まろうという気にもならず、とにかく前に進む。
時々来る対向車のハイビームで、路面は全く見えない。脚を取られる。自分が進んでいるのかどうかもよく分からない。
かろうじて、自分が45km地点を通過したのが見えた。「コレ、絶対身体に悪いよな・・」なんて雑念も生まれる。
そんな時。
『まもなくキャッチャーカーが来ま~す!』
キャッチャーカーの到着を知らせる一台の自転車。そして、ソレを聞いてだと思うが、猛然とスパートをする一人のランナー。
振り返ると、キャッチャーカーらしき車のヘッドライトが見える。あぁ、捕まる。
でも、もう一回頑張ってみよう。最後、キャッチャーカーに勝負挑んでみよう。
振り返ると、さっきより明らかに近づいている。とにかく逃げよう。もっと上がるはず。もっと行けるだろう。これは練習。むしろ貯金を作ってやろう。
シークレット・レースの著者タイラー・ハミルトンは教えてくれた。ポニーがサラブレッドに勝つには、極限の状態に留まり続けるしかない、と。口の中に血の味が広がり、自分の限界に留まり続けた先に新しい世界が広がr
あっ・・w
キャッチャーカーにアッサリ抜かれるw
文明の利器、なかなかやりおるw
ということで、筆者の記録は46.3km。最後の最後、やっぱり物理的なエンジンを積んだ機械に勝つことは出来ませんでしたが、スリリングな勝負と、フルマラソンを越える距離での良いスピード練習をすることが出来ました。笑
(上の写真はブレブレなので、平野さんからお借りした写真を掲載。これがキャッチャーカーです。笑)
終わった後は、バスで会場へ帰る。
キャッチャーカーに捕まった後は、各自最寄のエイドまで自力で行きます(元々そういう指示でした)。
しばらくすると、巡回のバスが迎えに来てくれるので、そのまま乗って帰ります。
筆者、その後低体温症で医療班のお世話になってしまい、閉会式や表彰などは全く見ておりません・・泣
まとめ
日本初開催となった、Wings For Life World Run。「世界一を決めるレース」ではありますが、雰囲気はどちらかというと、お祭りのような楽しいものでした。
参加者の皆さんからも、「また来年も出たい!」という声が多かったようです。
地元の皆さんも、このレースを楽しんでくれたようで、地域が一体となり、この大会を盛り上げてくれたような雰囲気が、とても心地よく感じました。
来年も、また日本での開催が予定されているそうです。開催場所は未定だそうですが、行ける場所だったら、またぜひ参加したいと思います。
管理人成績
逃げた距離 46.30km
3時間24分ぐらい:平均4分24秒/km
日本会場 23位(男22位)/1,962人
世界総合 275位(男257位)/68,791人
おしまい。