マラソン大会などで、レースの後半には必ずと言っていいほど訪れる「苦しい場面」。
別の言い方で「粘りどころ」とも表現されますが、この粘りどころでいかにペースダウンを防ぎ、ラストスパートに繋げるか?が、好記録へのポイントとなります。
今日は、そんな「粘りどころを乗り越える考え方」を5つ、ご紹介したいと思います。
苦しい場面を乗り越える、4つのアイディア
『苦しいところを3回乗り越えよう!と自分に言い聞かせている。3回乗り越えることができたら、納得できる結果を出すことが出来るから。』
国際ランナー O.Tさん
「3回」の根拠は無いそうですが、経験上、3回頑張ることができれば、結果は付いてくるそうです。
自分との闘いに勝とう、という強い意気込みが感じられます。
『諦めなければ、もう一度どこかで風が吹く。そう言い聞かせて走り続けています。』
国際ランナー M.Sさん
ただ「耐える!」のではなく、耐えた先には良いことが待っているはず・・!という、メンタルの持っていき方。参考になります。
『 苦しい時こそ原点回帰!姿勢を正して、腕を振って、大きく息を吐くという基本動作を取り戻す。』
国際ランナー N.Sさん
疲れてくると、腰が落ちてきたり、動きが小さくなってしまったり。非効率になりがちな後半のフォームを整えて、しっかりレースを走りきろう!という心構えです。
『苦しい時間と、楽になる時間が交互に襲ってくる。限界ギリギリで走っている時は、そういうものだ。だから、一回苦しくなっても、いつか楽になる。』
北京世界陸上2015 代表M.K選手
ゴールデンゲームズで1万M27分台をマークしたあとのインタビューより。限界ギリギリで戦う選手達の「レース中の心境」が良く分かる一言です。
[+1]管理人オススメのフレーズ
自転車レース業界の闇を描いた名作「シークレット・レース」の本編冒頭に出てくる、著者タイラー・ハミルトンが、1994年のツアー・デュポンで頭角を現したときの心境をつづった一文です。
ちょっと長いですが。
勢いよくスタート台を飛び出し、全速力で最初のコーナーに飛び込んだ。
カーマイケルがチームカーで追走してくれている。
僕は激しくペダルを踏み続け、すぐに限界に達した。そして、その状態に留まり続けた。
口の中に、わずかに血の味がする。限界ぎりぎりで走っている証だ。
僕はそのまま留まり続けた。乗り越えるべき限界の、境界線上を。
そして、次に訪れる瞬間を ――これこそが、僕が自転車レースにほれ込み、今もそれを愛している理由だ――
持てるすべてを出し切ったときに、不意に訪れる神秘的な瞬間が来るのを待ち続けた。筋肉が叫び声をあげ、乳酸が顔面から両腕までを駆け巡る ――そこからさらに力を振り絞る。さらに力を振り絞る。さらに、さらに――。すると、それは起きる。
力尽きるときもあれば、限界にぶち当たって先に進めなくなるときもある。
だけど、その瞬間は、限界を超える瞬間は、確かに訪れる。シークレット・レース 第一章”ゲーム”のなかへ
多少、文学的な脚色はあるのかもしれませんが、私達がレースで味わう苦しみなんて、プロの世界のそれに比べたら、大したことは無いようです。
人間はそのくらい頑丈に出来ているし、もっともっと我慢できる。そんなことを教わった一節です。
エリートの意見なんて参考にならない!?
「エリート選手と私は違う」「速い選手には才能がある」などというご意見を聞くことがありますが、多くの場合、それは違います。
速い選手達は、苦しい時に頑張れる強さを持っているだけでなく、どのように乗り越えれば良いか?という自分なりの引き出しを持っています。
苦しい時に頑張れるからこそ、良い結果が出るだけでなく、その頑張りを通じて更なるレベルアップをしていけるのです。
苦しい場面で頑張れるエリート市民ランナーの方々から、私達も多くのことを学びたいものです。
追伸:
『私はこんなふうに、苦しいところを乗り越えてるよ!』っていうアイディアをお持ちの方は、ぜひコメント欄等で教えて下さい。もしかしたら、今後の記事に取り上げさせて戴くかもしれません。