日本各地には、様々な特色を持ったレースが多数、開催されていますが、8月のこのレースは「一風変わったレース」の代表格と言えるでしょう。
「日本一過酷な駅伝」と称される富士登山駅伝。
御殿場市街をスタートし、富士山頂までの道を6人でつなぎ、しかもまたそのコースを戻ってくるという変態なレースに、毎年約130チーム(約800人)のランナーが挑んでいます。
2016年で6回目の参加となる筆者、毎年この駅伝に参加することが当たり前となっていたのですが、よく考えてみれば毎年なんか変なことしてるぞ俺たち・・という気付きがあったので(笑)改めて、ここでその詳細をレポートしてみることにしました。
富士登山駅伝はエントリーから大変
富士登山駅伝には様々な壁があり、最初に訪れる壁はエントリーの壁。
参加資格には色々と制約があります。大会要項に沿って、その詳細を見てみたいと思います。
往復5時間以内!?
1.全コースを5時間以内で完走できる見込みであること。
2.前年度、4時間40分以内で完走したチームは優先する。
5時間以内に完走できるか?・・って、出たこと無かったらわからないですよね(泣)
ざっくりですが、トラックでいえば5000m17分程度、マラソンならサブスリーが6人揃っていれば、何とかなるくらいのレベル感でしょうか。
いずれにせよ、標高への対応、不整地への対応など、走力以外にも様々な対策が求められるので、一概には言えませんが・・。
山頂区は山小屋前泊
3.特殊環境に適応するため、必ず6区の競技者は前日から御殿場口山室に宿泊すること。
(「シャトルバス乗車の義務について」の項目を参照)
なお、山室は、大会本部で指示します。
山頂区間である6区の選手は、前日11時の点呼を経て、山小屋に前泊して、翌日に備えなければなりません。
つまり、土日のすべてをこの富士登山駅伝に捧げることになります(遠方チームは金曜の夜から)。
通常は、6区の選手とチームの付き添いが二人で山小屋に宿泊することが多いようです。
1区はスピードランナー!
4. 第1区の走者は、国道246号線を通過するため、1㎞を3分程度で走ることのできる選手でなければならない。
1区は、1kmを3分程度で走れる人でなければなりません。
先日、私事ですが人生で初めて1000m3分切りましたので、筆者であればギリギリ1区への出走が可能ということになります^^;
最大130チーム
5. 出場チーム数は130を限度とし、出場希望チーム数が130を超えた場合は、大会本部が厳選する。なお、選考基準は大会本部に一任するものとする。
富士登山駅伝では、エントリー=参加OK ではありません。エントリー後、主催者の審査を経て参加の承諾を受けることができます。自然が相手ですから、参加希望チームをすべて、受け入れるわけにはいかないのです。
大会要項では明確に書かれていませんが、原則過去に参加したことのあるチームが優先だそうです。2016年大会の初出場は15チームでした。
結構お金がかかる
参加費は5万円です(山小屋の宿泊費は含まれません)。
御殿場市街から富士山までの走路を使用し、様々な自然の脅威に対応する必要がありますから、決して高い参加費ではありませんが。
スタートが朝8時ということで、地元チームを除くほとんどのチームが、前泊をしますので、選手+付き添いの宿泊費(山小屋は一人8,000円)が必要です。
橋本走友会チームの会計
参加費 50,000円(+振込手数料)
山小屋宿泊費 16,000円
民宿宿泊費 47,736円(7名・2食付)
交通費 約15,000円(高速3,000+ガソリン2,000が3台)
合計 約13万円
神奈川県相模原市発着でこのくらいです。
付き添いの確保
レースのスタートは朝8時ですので、ほとんどの選手が前泊を必要とします。
また、中継所がバラバラなので、各区間に付き添いの人がいないと、荷物の管理や体調悪化への対応が難しく、選手と同数(※1)の付き添いが居たほうが良いでしょう。
そして車も必須です。
詳細は第二部でレポートしますが、開会式が行われる御殿場市陸上競技場までの交通手段が少ないことと、当日の選手&付添いの運搬に車が必要(※2)であるため、各チーム最低2台(9~10人分)は車を用意したほうが良いと思われます。
※1 1区だけは、一斉スタートであることから、荷物の運搬などが定時間で行われるため、付き添いは居なくても、さほど困ることはありません(選手は寂しいでしょうが)。それに1区のスタートで付き添い係になった人は、選手が戻ってくるまで5時間程度の暇を強いられますので、筆者のチームでは1区のみ付き添いは無しで運営しています。
※2 一応、付き添いがいなくても出走できるよう、自衛隊の協力による荷物の運搬、選手の搬送などが用意されていますが、時間や場所の制約を考えると、チームで準備をしたほうが、チーム全体の負担軽減になります。
また、こんな条件も・・・
参加許可決定通知後、キャンセルしたチームは翌年の参加を認めない。
厳しいですね・・。
参加したくても参加できないチームがあるわけですから、出場決まったんだからちゃんと参加してね!というのは、当然のことかもしれません。
第一部まとめ
このように、様々な壁を越えることのできた130チームが、富士登山駅伝へ参加することを許されました。
実際に、130チームの選考から漏れるチームもありますので、これだけの壁があってでも参加したいと思うほど、富士登山駅伝は魅力ある大会です。
後編では、そんな富士登山駅伝に参加する、筆者所属の「橋本走友会チーム」の二日間をレポートしたいと思います!