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北京世界陸上でメダルランキング1位「ケニア」の活躍を振り返る

投稿日:2015年9月1日 更新日:

マサイ族

8月22日~30日まで、熱戦が繰り広げられた世界陸上北京2015。

中でも、これまで「中長距離王国」と呼ばれていたケニアが、新しい種目で大躍進を遂げたことで、大きな話題となりました。

本日は、そのケニア勢の活躍の秘密を探ってみたいと思います。

北京世界陸上 ケニアがメダルランキングトップ

iaaf.org

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2015年の世界陸上では、メダルランキングでケニアが初の1位を獲得しました。

前回大会までも、常に上位に食い込んできたケニアですが、それらは1993年大会のリレーを除き、全て800m以上の「中長距離種目」で獲得したメダルでした。

2013年モスクワ大会 4位(金5・銀4・銅3)
2011年テグ大会   3位(金7・銀6・銅4)

2009年ベルリン大会 3位(金4・銀5・銅2)
2007年大阪大会   2位(金5・銀3・銅5)
2005年ヘルシンキ大会 9位(金1・銀2・銅4)
2003年パリ大会   7位(金2・銀1・銅1)
2001年エドモントン大会 3位(金3・銀3・銅2)

1999年セビリア大会 13位(金1・銀4・銅1)
1997年アテネ大会  4位(金3・銀2・銅2)
1995年イエテボリ大会 6位(金2・銀1・銅3)
1993年シュトゥットガルト大会 4位(金3・銀3・銅4)※4×400mリレーで銀
1991年東京大会   4位(金4・銀3・銅1)

1987年ローマ大会  5位(金3)
1983年ヘルシンキ大会 -位(メダルなし)

ケニア勢各種目での活躍

最も、世界中が驚いたのは、ケニア勢が中長距離種目以外で金メダルを獲得した、この2種目でしょう。

男子400mハードル

1位 N.ベット 47秒79 Nicholas BETT
5位 B.M.ツムティ 48秒33 Boniface Mucheru TUMUTI

終盤まで5~6番手を走っていた、大外9レーンのベット選手が、9台目のハードルを越えたあたりから猛然とスパートをかけ、ごぼう抜きで金メダルを獲得。47秒79は今季世界最高。
 


 

男子やり投

1位 J.イエゴ 92m72 Julius YEGO

「Youtubeスロワー」などと言われるイエゴ選手が、3回目に全体重を乗せて放った渾身の一投が、今季世界最高・世界歴代3位の92m72をマークして優勝。
 


 
その他、中長距離種目においても、新興国の台頭に苦しみながらも、多くのメダルを獲得する健闘ぶりを見せてくれました。
 

男子3000m障害

ケニア勢にとっては、絶対に外せない種目。お家芸。

1位 エゼキエル・ケンボイ 8分11秒28 Ezekiel KEMBOI
2位 C.キプルト 8分12秒38 Conseslus KIPRUTO
3位 B.K.キプルト 8分12秒54 Brimin Kiprop KIPRUTO
4位 J.K.ビレチ 8分12秒62 Jairus Kipchoge BIRECH

ケンボイ選手が圧倒的な力を見せ付けて4連覇(ロンドン五輪を含む世界大会5連覇!)。
また、ワイルドカードを含めた4名の選手が、上位を独占する圧倒的な強さでした。
 


 

男子800m

1位 デイビット・ルディシャ 1分45秒84 David Lekuta RUDISHA

近年は故障に苦しんだ世界記録保持者が、本番にピタリ合わせてくる勝負強さを発揮しました。
 


 

女子3000m障害

1位 H.K.ジェプケモイ 9分11秒11 Hyvin Kiyeng JEPKEMOI

世界陸上では、2005年モスクワ大会から採用された新興種目。記録的にはロシア勢が強いこの種目で、ケニア勢が2連覇(2013:ミルカ・チェモス・チェイワに続く)を果たしました。

男子と同様に、女子でも3000m障害はケニアの時代が訪れるかもしれません。
 


 

男子1500m

1位 A.キプロプ 3分34秒40 Asbel KIPROP
2位 E.M.マナンゴイ 3分34秒63 Elijah Motonei MANANGOI
5位 S.キプラガト 3分34秒81 Silas KIPLAGAT
7位 T.チェルイヨト 3分36秒05 Timothy CHERUIYOT

10人による激しいスパート合戦の中、出場した4選手全員が8位以内で入賞する素晴らしいレース運びでした。
 


 

男子10000m

2位 G.K.カムウォロレ 27分01秒76 Geoffrey Kipsang KAMWOROR
3位 ポール・タヌイ 27分02秒83 Paul Kipngetich TANUI
4位 ビタン・カロキ 27分04秒77 Bedan Karoki MUCHIRI

絶対王者モハメッド・ファラーに優勝こそ譲ってしまったものの、2~4位を独占する層の厚さを見せ付けたケニア勢でした。
 


 

その他

女子マラソンで銀(H.キプロプ)・4位・5位
女子1500mで銀(F.C.キプイエゴン)
女子800mでも銅(E.J.サム)

など、世界のレベルが上がるなかでも、しっかりと中長距離種目で結果を残し続けています。

 

恐るべしケニア人の身体能力

ケニアには様々な民族が有り、それぞれに特有の風習があります。裸足の生活スタイルや狩猟の方法だけでなく、遊びや儀式にも、大きな秘密が隠されているようです。

マサイ族 歓迎の儀式?

みんな、飛び跳ねていますね。足首や膝の使い方が非常に柔らかいことがよく分かります。

 

ケニア人の遊び?走り高跳び

はさみ跳びなのに、2m近く跳んでいます。。
走り高跳びは、トレーニングに必要な設備にお金のかかる種目ですので、現状は厳しいのかもしれませんが、身体能力としては世界で活躍できる金の卵がたくさん、居るのかもしれません。

 

狩猟民族のヤリ使い

※野生動物の狩猟映像ですので・・少々、閲覧注意です(まぁ、私たちも肉を食べている訳ですから、似たようなことがどこかで行われているはずなのですが、一応)。


※この映像がケニアのものなのかどうかは不明です。

よく考えてみれば、狩猟民族がやり投で優勝するのは、自然な流れなのかもしれません。
※現在、ケニアでは法律で野生動物の狩猟が禁じられていますので、厳密には狩猟民族とは呼べない(?)ようです。

ケニアの多くの民族(をはじめとするアフリカ系民族)では日常的または伝統的に、走・跳・投の動作を行っているわけで、その伝統に応じたDNAを持っていてもおかしくはありません。

ケニア人が中長距離以外の種目に本気出してみたらどうなるんだ!?という結果の一端を、垣間見ることができた世界陸上だったと思います。

ケニアでは、北京で活躍した「先人」たちを追って、多くの金の卵たちが陸上競技への憧れを持つことでしょう。

もしかしたら近い将来、陸上競技のあらゆる種目で、ケニア人旋風が巻き起こるかもしれません。

 

3000m障害の高さと、400mハードルの高さは同じ!

ケニアは3000m障害で長く上位独占が続いていますが、長距離的なスタミナと跳躍力の両方が必要となるこの種目で、あれほどの活躍ができるのも、納得できます。

また、400mハードルは、3000m障害のハードルと高さが同じ(男子91.4cm/女子76.2cm)です。
 


 
3000m障害のトップ選手は、ほとんど足をかけずに障害を飛び越えていますので、その動きは400mハードルに応用が可能だろうと感じます。

今回の400mハードルでの活躍は、あまり驚くことでもないのかもしれません。

 

ケニア「マサイ族」のオリンピック

有名なマサイ族の、族内オリンピック?の映像。日頃から飛んだり跳ねたりしている民族ですから、皆さん動きが美しいですね!

 

以上、北京世界陸上におけるケニア人選手たちの活躍について、まとめてみました。

まだまだ、調べてみれば色んな秘密が隠されていそうなケニア勢の、今後の活躍が楽しみです。

逆の言い方をすれば、現在は貧しくて競技に取り組めない他の国や、高地で生活しているアンデスの民族などなど・・身体能力の高い「埋もれた才能」は、世界中にたくさん残っているのかもしれません。
そう考えると、楽しみなような、ちょっと怖いような。。

日々、レベルアップする世界と、日本人選手がどう戦っていくのか、日本人らしいアイディアや工夫の数々が見られることを、楽しみにしたいと思います!!

 

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