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インタビュー

【あと6秒】福岡国際マラソンに最も近くて遠かった男の物語

投稿日:2016年8月17日 更新日:

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「6秒」

何気ない普段の生活であれば、あっという間に、気にすることもなく通り過ぎてしまうくらいの、わずかな時間。

でも、この男にとって「6秒」は、あまりにも大きい時間でした。

 

2時間35分00秒

 

福岡国際マラソン2016年大会の、Bブロック資格記録が発表された7月1日。

一人の男が、人知れず静かに、涙を呑んでいました。

その男、中村慎之介。

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中村慎之介(以下、しんのすけ)。29歳、イケメン。
フル自己ベスト:2時間35分06秒(2015東京/ネット2時間34分52秒)

 

わずか、わずか6秒に泣き、出場を逃してしまった福岡国際マラソン。

その発表の直後の7月9日、世田谷記録会の5000mに参加していたしんのすけに、直撃インタビューをしてみました。

 

7月9日(土)大蔵公園陸上競技場

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傷心のしんのすけ。でも快くインタビューに応じてくれたよ!

 

――「6秒」だね。

しんのすけ:そうですね・・。やっぱり、ショックでした。。

 

――そうだよね。ショックだよね。

しんのすけ:ちょっと・・「まさか」でしたね。

 

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ショックを隠し切れない様子のしんのすけ。

 

――やっぱり、冬のレースは、福岡国際マラソンを中心に?

しんのすけ:もちろんです。資格記録の変更も噂されていたんですが、今までの流れだと、37分とか、38分とかに収まってくれるだろうと思っていたので・・・

 

――そりゃぁ、そうだよね・・。

しんのすけ:はい・・・。

 

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――・・・。

しんのすけ:・・・。

 

 

イカン、空気が悪くなってきたぞ!ここは話題を変えなくては。
そうだ、しんのすけは最近入籍したばかり。明るい話題があるじゃないか!

 

――そういえば、入籍おめでとう!

しんのすけ:ありがとうございます!そういえば入籍後にお会いするのは初めてですね。

 

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ちょっと元気になってきたしんのすけ。いいぞ、しんのすけ!

 

――それでも今日は15分台(15’50″13)をマーク。環境が変わっても、ちゃんと維持していてすごいね。

しんのすけ:はい。福岡に向けて、頑張ってましたので・・。

 

――なるほど、そうだよね・・。

しんのすけ:はい・・・。

 

 

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――でも、理解がある奥さんで良かったね。

しんのすけ:そうなんです!それは本当にありがたいです!

 

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再び元気を取り戻したしんのすけ。いいぞ!

 

しんのすけ:でも・・・

――ん?

 

しんのすけ:嫁さんの実家が福岡なので、福岡国際マラソンで良いところを見せたかったのですが・・・。

 

 

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やっぱり、まだ心の整理が付いていない様子。。
そりゃ、そうだよね。一番の目標にしていたレースに、参加できないんですから。。

 

 

でも”福岡”には行ける!?

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懐かしい写真を出してみた。中央がしんのすけ。

 

――秋のレースは、どうするの?

しんのすけ:実は・・「福岡」に出るんですよ!

 

――ほぇ!?

しんのすけ:福岡は福岡でも「福岡マラソン」のほうですけどね。笑

 

――おぉ。当たったのか!?

しんのすけ:はい、当たりました!

 

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三たび、元気なしんのすけ。やっぱり、しんのすけは、こうでなくちゃ!

 

――奥さんの地元で走れることになって、良かったね^^

しんのすけ:嫁さんの実家の皆さんが、福岡国際マラソンで走るのを楽しみにしてくれていたので、ちょっと残念ですが、、福岡マラソンなら逆に、上位を狙って走れるので、別の意味で、頑張っている所を見てもらえるかなーと思っています。

 

――ズバリ、目標を教えてください!

しんのすけ:福岡の目標というより、僕はずっと前から、マラソンの2時間半切りを狙っています。まず一つ目のチャンスとして、狙っていきたいと思います!

 

――2時間半ですか!びわ湖ですね。

しんのすけ:福岡国際に出られないことが分かって、より一層「これじゃダメだ!」と思えるようになりました。

 

――環境が変わる等、大変かもしれないけど、頑張ってね!

しんのすけ:ありがとうございます!

 

ショックな気持ちを整理していくように少しずつ、前向きな言葉を探して、話してくれたしんのすけ。
何やら、もぞもぞと準備を始めました。。

 

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あれっ、しんのすけ。。

――インタビューは終わったけど、みんなご飯にいくよ?

しんのすけ:すみません、僕は走って帰ります!

 

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まさかの帰宅RUN。

 

――えっ、ここから家まで結構あるよ?

しんのすけ:そうですね・・たしか30Kmぐらいだったかと・・・

 

「でも、目標があるんで!!」

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そう言い残して、しんのすけは家路につきました。

・・・ジョグで。

 

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目標に向かう男の背中は、我々に語りかける。

 

 

この男、「中村慎之介」。

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おそらく「日本で一番、福岡国際マラソンに近かった男」、中村慎之介。

おそらく、資格記録変更の知らせを一番悔しがっていたことでしょう。

 

しかし、しんのすけは、

周りの環境や条件の変化に不平不満を言うことなく、しっかりと”対応”が出来る男であり、

そして、これほどショッキングな出来事があっても、「自分の本当の目標は何だっただろうか?」と問いかけ、さらなる飛躍のきっかけにする強さを持った男でもありました。

 

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あのガッツポーズをもう一度!

 

この悔しさを大きなバネにして、新しい福岡国際マラソン、そして、びわ湖毎日マラソンのスタートラインに立つ姿が見られる日は、そう遠くはないはず。

 

楽しみにしてるぜ!!

 

-インタビュー

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